ロマンス小説の七日間
2006年12月9日 読書ISBN:4043736010 文庫 三浦 しをん 角川書店 ¥620
あかりは海外ロマンス小説の翻訳を生業とする、二十八歳の独身女性。ボーイフレンドの神名と半同棲中だ。中世騎士と女領主の恋物語を依頼され、歯も浮きまくる翻訳に奮闘しているところへ、会社を突然辞めた神名が帰宅する。不可解な彼の言動に困惑するあかりは、思わず自分のささくれ立つ気持ちを小説の主人公たちにぶつけてしまう。原作を離れ、どんどん創作されるストーリー。現実は小説に、小説は現実に、二つの物語は互いに影響を及ぼし、やがてとんでもない展開に!注目の作家、三浦しをんが書き下ろす新感覚恋愛小説。
表紙に釣られて……。読み始めたら、いきなり中世の女領主と騎士のラブロマンス!? と思いきや、その陳腐な小説を邦訳している女性が主役の、現代のお話だった。ハーレクイン風の量産型ラブロマンスを翻訳していく途中で、現実世界のイライラとか、物語のつまらなさに、思わず超訳(つまりは、勝手に創作)を始めてしまう翻訳者。もう、それは翻訳ではありません。かくして、物語は騎士とのラブロマンスどころか、とんでもない方向へと暴走を開始するのである。まあ、三浦しをんにしては面白かったよ。
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