ISBN:4062122065 単行本 島本 理生 講談社 2004/01/29 ¥1,365
デビュー作『シルエット』で17歳の等身大の恋の痛みを描いた島本理生が贈る、傷ついた女性の静かな再生の物語。恋を失った主人公と友人たちとの交流、そして少女から大人へと脱皮していく心の成長を繊細な筆致でつづる。デビュー作から受け継がれた、著者のやさしい目線と細やかな感性が光る1作である。

恋人に別れを告げられた痛手から、自棄になっていた主人公の「わたし」。友だちの部屋を借り、期間限定の独り暮らしを始めたが、いつまでも失恋の記憶は拭えないままだった。そんな主人公に新たな風を送ってくれたのは、高校時代の同級生キクちゃんと、キクちゃんの家族だった。ガテン系の父、中学生の弟、そして主人公の悲しみを知ったうえでそれを受け止めてくれる兄の雪生。本当の家族のように親しくしてくれる一家に見守られ、終わった恋を整理しながら、次第に主人公は癒されていく。

堕ちていくだけだとわかっていても深みにはまってしまう恋を「森」にたとえ、著者はその鬱蒼とした「森」と、陽気な友人一家の様子を対比させて描く。また、無骨な実父や、友人に付きまとっている元恋人の青年、アルバイト先の人々などの存在も生き生きと描写されており、重くなりがちなテーマを扱った本書に、ユーモラスな味を添えている。些細なエピソードを積み重ねることによって、10代の女性の日常と、ふとした瞬間の感情の揺れをうまく描き出した作品となっている。(砂塚洋美)

第130回芥川賞候補作。

えーっと、前回読んだ『リトル・バイ・リトル』より後に書かれているので、ややストーリーの完成度は上がっておりますな。我慢して読んでいてわかった事。やはり恋愛小説は肌に合いませぬ。この話も小奇麗にまとまっていて、ドロドロとした人間の葛藤がないですね。まだ人生の暗黒面を知らない、中高生の頃に読めばちょうと良いかもしれません。

疲れた。2冊目読了。

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