ISBN:4104669016 単行本 絲山 秋子 新潮社 2004/08/28 ¥1,365
碧い海が美しい敦賀の街。ひっそり暮らす男のもとに神様がやって来た―。「ファンタジーか」「いかにも、俺様はファンタジーだ」「何しに来た」「居候に来た、別に悪さはしない」心やさしい男と女と神様。話題の新鋭、初の長編。
第130回芥川賞候補作。
ファンタジーという神様が出てきて、主人公は宝くじで3億円当たって会社を辞めた男。なんなんだ、そのファンタジーというベタな名前は! そして、「宝くじ当たっちゃった♪」などというご都合主義な設定はっ!! 他の登場人物もなんだか変だし、途中で投げようかと思った。
主人公が3億円当たったのに、ちっとも幸せそうでないのが物悲しい。過去のトラウマ引きずったまま、ただ月日だけが流れていくし、人生なんてちっとも思うようにならない。ブルーな雰囲気のまま終わってしまった。
あぁ、鬱な話だ……。なんか、こう、もっと読後に爽快感が残るモノが読みたい。こういう、現実にありふれていそうな不幸な話を読まされても、ダークな気分になるだけなんだけど。この物語で、2つだけ現実離れしているものがある。それは、3億円当たった事と、神様の名前だ。この2つだけが、まさにファンタジー。
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