魔王

2006年3月26日 読書
ISBN:4062131463 単行本 伊坂 幸太郎 講談社 2005/10/20 ¥1,300
「小説の力」を証明する興奮と感動の新文学
不思議な力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」と、静謐な感動をよぶ「呼吸」。別々の作品ながら対をなし、新しい文学世界を創造した傑作!

題名から想像すると、ドラゴンクエストの敵ボスでも出てきそうな雰囲気だが、魔王は出ません。「重力ピエロ」みたいに、ほのぼのとした感のある文章なのだけど、内容は……。人々がそれと気づかないうちに、世の中がファッショ化していく恐怖を描きたかったのだろうか? 「ファシズムや憲法などが出てきますが、それらはテーマではありません」と言及しているが、ではテーマは一体!? 「自分達の頭で考えて、自らの決断に責任を持て」あたりでしょうか。

作中では、ある政治家が台頭していき、国民投票により憲法第九条改正の是非を問うところまで行くのだが、日本という国が「大人」として国際社会から認められる為には避けて通れない課題だと思う。行き場を失った人々の不満がナショナリズムとして具現化し、世論の針が一気に危険な方向にブレる怖さはあるけど、実際に今、この国が向かっているのはその方向だろう。私は民主主義なんて糞くらえ! と思っているから、全体主義になっても一向に構わないのですけど。

今まで無能な政治家に辟易していたけれども、天才が出てきて劇薬になる事を考えると、もうあの人たちは無能なままでも良いのではないかという気がしてきた。天才的な政治家と特殊能力を秘めた兄弟、一体どちらが「魔王」となるのでしょうか。

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