ISBN:4087747409 単行本 三崎 亜記 集英社 2004/12 ¥1,470
ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。僕は町役場から敵地偵察を任ぜられた。だが音も光も気配も感じられず、戦時下の実感を持てないまま。それでも戦争は着実に進んでいた―。シュールかつ繊細に、「私たち」が本当に戦争を否定できるかを問う衝撃作。第17回小説すばる新人賞受賞作。
第133回直木賞候補作。
結構評判悪いようだが、個人的には好き。自分の住んでいる町が隣町と戦争を始めてしまうというトンデモ設定。会社勤めの合間に、偵察任務でとなり町へ行くのだが、そこはいつもと変わらない日常で、戦争の影すらみえない。だけど、町の広報には戦死者数が記載されており……。途中から「となり町戦争係」の香西さん(女性)と、結婚という形でとなり町へ引越しして偵察活動を行うので、なんだか恋愛小説っぽくなる。最後まで戦争の実態は明らかにされないまま、なんとも言えない結末。
身元が割れているのに偵察出来るのがおかしいとか、妙なリアリティを求めてる人がいるけど、小説なんて作者の脳内妄想なんだから、面白ければそれで良いと思う。それを言い始めたら全国の佐藤さんが殺される話も、転げ落ちたら男女の中身が入れ替わってしまう話も、鼠が羊男になる話も、12月24日におじいさんが煙突から不法侵入してくる話も、全てダメになるじゃないか。例えば空母にF15を着艦させてしまう等の小道具の間違いはやらないほうが良いけどね。有り得ない戦争を描いているのだから、実際の戦争に即して無くても問題無いと思う。そういうのが読みたい人は、素直に戦争物を読めばよろしい。
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