ISBN:4044253021 文庫 乙一 角川書店 2001/05 ¥500
私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…。

短編3つが収録されているが、全て出来が良い。文章もしっかりとしているし、角川スニーカー文庫から出版されている事に違和感を感じてしまう。

携帯電話を持たない少女が、頭の中で想像する自分だけの架空の携帯で白昼夢に没頭するうちに、どんどんそれがリアルに迫ってきて、ついには誰かから電話がかかってくる話。最初は頭がおかしくなる話かと思ったら、本当に電話がかかってきているし。しかも、脳内で分裂した別人格とかではなくて、ちゃんと実在する他の人物からのメッセージ。だけど、それはリアルタイムではなくて、電話のこちらと向こう側では現実時間にズレがあり……。せつない結末を迎えます。

他、傷や怪我を移動させる能力を持つ少年の話、少女が自殺した場所に生えた人面花の話も、せつない系。やはり乙一はせつない系がいいな。ダーク乙一な方は人が死にまくるからちょっとなぁ……。

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