バイトでウィザード―流れよ光、と魔女は言った
2006年6月10日 このライトノベルがすごい?ISBN:4044287015 文庫 椎野 美由貴 角川書店 2002/11 ¥540
大地に埋められた精霊の力を借りて、世の中を清める「矯正術者」という仕事に就いた一条京介・豊花の双子の兄妹。ハイテンションな豊花と何事にもクールな京介が巻き起こす破天荒な学生魔法使いバトルノベル、登場!
元々は「光の魔法使い」だったらしい。そのままではインパクトが弱いから、編集が題名変えさせたんだすね、きっと。越後屋め(本当は越後屋じゃなくて角川だけど)、ディックのパロディな題名になってるから、思わず買ってしまったではないか。明らかに、「流れよわが涙、と警官は言った」のパクリですからね。まぁ、セカチューみたいに「世界の中心で愛を叫んだけもの」からパクッてる例もありますから、これは良しとしましょう。
念の為に言っておきますが、ハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」がオリジナルで、片山恭一の「世界の中心で、愛をさけぶ」がパクリですからね。時々、ネタなのか、「もしかしたらハーラン・エリスンって人が、片山さんの真似したかもしれないじゃないか!」とか言い出す痛い人がいるので……。
さてさて、ディック風な題名に見事に騙された訳ですが、正直、中身は可も不可も無し。話が脱線するし、場面転換も上手くなかったりするしで、結構微妙なところ。でも、光流脈矯正術という「当り」そうな設定と、アクの強い登場人物は魅力的。特に双子の妹、ツインテールが素敵です(笑)。キャラクター小説としては成功だと言えるでしょう。あとは、何といっても、イラストがディスガイア風味なところが堪らない……。
光流脈矯正術の呪文も、こんな感じで個人的には好きかも。
「流れよ、大地を走る輝く女神。天の赤道に沿いて、雷雲を起動。対象三体へ落下。我の意志に従え」
このラノベは、多少、荒削りだけど、デビュー作なので続編に期待。
第6回角川学園小説大賞〈大賞〉受賞作。
★★★
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