ストラヴァガンザ―仮面の都
2006年8月15日 ファンタジー特集ISBN:4092903715 単行本 乾 侑美子 小学館 2003/11 ¥1,995
21世紀のロンドン。少年ルシアンはがんに冒され、つらい化学療法を続けながらベッドの上で過している。16世紀のべレッツァ。この都はルシアンの暮らす世界と並行して存在するもうひとつの世界(パラレルワールド)にあり、絶大な権力を持つ女公主によって統治されている。ある日、マーブル模様の手帳を父親からもらったルシアンは、突然べレッツァへと時空を越えた旅(=ストラヴァガント)ができるようになる。16世紀のべレッツァで過す時のルシアンは、体調も万全。ロンドンとを巧みに行き来しながら、魔法の師匠ロドルフォからさまざまなことを学ぶうち、女公主シルヴィアを救う大冒険に巻き込まれていく。
悪性腫瘍で苦しむ少年が、異世界に転移する物語。そこは、自分の世界とよく似た別の地球で、歴史や文化はほぼ同じだが微妙に違う。そして、時代はかなりの開きがあるのだ。少年の世界は21世紀だが、異世界ではまだ16世紀。舞台となるのはタリアにある水上都市ベレッツァ。名前が似ているがイタリアのヴェネチアとは少し違っている。その世界では、少年は健康な体で活躍する事が出来るのだ。
異世界転移物は多いけど、主人公が悪性腫瘍で死にかけている少年というヘビーな設定なのは初めてだな。終盤で、この設定が効いてくるのだが……。ちょっと衝撃の結末が待っていた。
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