ISBN:4152087358 単行本 石黒 達昌 早川書房 2006/06 ¥1,680
北海道・旭川の郷土図書館で見つかった新種の植物“冬至草”の押し葉。太平洋戦争期の在野研究者が遺した記録から、ウランを含んだ土壌に生息して人間の血液を養分とする異様な生態が明らかになっていく―科学という営為の光と影を追究した表題作、異端の天才科学者の半生が浮き彫りにする論理と倫理の相克「アブサルティに関する評伝」、終末医療の情景を宇宙的な死生観から綴った芥川賞候補作「目をとじるまでの短かい間」ほか、全6篇を収録。架空の動植物を媒介にして、生命と科学の本質を描きだす理系小説の完成形。
第132回芥川賞候補作「目をとじるまでの短い間」収録。
芥川賞候補作となった「目をとじるまでの短い間」が全然見つからないと思ったら、意外なところで発見。芥川賞と縁遠く思えるハヤカワに入ってるなんて! ハヤカワ=SFなイメージがあるから、むしろ芥川賞よりもネビュラ賞とかヒューゴー賞のほうが似合ってるよ。
知識に裏打ちされた小説というのは心地良い。気分や雰囲気だけでなく、フィクションなんだけど作者の脳内妄想だけで終わらない何かが感じられるから。虚構でありながら、それが現実として存在してもおかしくないように思えてしまう。短編集だから、話に広がりがなく小さく纏っているけれど、この人なら長編を書いても面白そう。検索で「人食い病」というのが出てきたが、図書館には置いてないよ(><)。
おいら、バリバリの文系ですが、こういう理系っぽいのが好き。むしろ、純文学っぽい話のほうが苦手なのである。それにしても、いい意味であんまり芥川賞っぽくない。どういう基準で決めてるの?
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