ISBN:4048731440 単行本 小林 泰三 角川書店 1,365
異星からの遺伝子、内臓の臭い、一途な愛の狂気…現実のちょっと向こう側に渦巻く恐怖の世界。日本ホラー小説大賞短編賞作家が恐怖を凝縮させた4つの物語。ジュラシック・パークに刺激された研究者が、6500万年前の地層の中にあるDNAから地球外生命体を復元してしまう「肉食屋敷」、西部劇をモチーフにゾンビの世界を描いた「ジャンク」、人間の一途な愛が恐怖を生み出す「妻への三通の告白」、自分の中にあるもう一つの人格が犯した殺人に怯える「獣の記憶」を収録した小林泰三傑作短編集。
文章自体はそんなに上手いと思えないのだが、意表をつく物語構成がすごく好き。表題になっている「肉食屋敷」は、クトゥルフ神話好きならニヤリとする事必至。「ジャンク」は西部劇風のエログロSFスタイルで、ちょっと雰囲気がバンパイアハンターDみたいな感じである。「妻への三通の告白」は、末期癌患者の愛の告白かと思いきや、最後に狂気で締められる。してやられたのは「獣の記憶」である。多重人格障害を絡めた殺人事件なのだが、最後の最後にとんでもないどんでん返しが待っていた!
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