東京奇譚集

2006年11月23日 読書
ISBN:4103534184 単行本 村上 春樹 新潮社 ¥1,470
きたん【寄譚】<名詞>
不思議な、あやしい、
ありそうにない話。

しかしどこか、あなたの近くで
起っているかもしれない物語。

村上春樹は本のデザインにもこだわる、らしい。作家によっては出版社お任せで関知しない人も多々いるらしいが、村上春樹は本が仕上がった状態になるまで参加するのだ。帯に書かれた上記の台詞というか、語句説明みたいなものも、春樹自身が選んだものである。確か、「帯のデザイン」? とかいう本に書かれていたと思う。

ありそうな、なさそうな、完全にフィクションだとも決め難い、ちょっと奇妙な短編で構成されている本。

「偶然の旅人」
ホモな自分に気づき、世界が変わった男。それが元で姉の婚約が危うくなったために、10年以上も絶縁状態だったのだが、ある日、カフェで同じ本を読んでいる女性に声をかけた事がきっかけで……。偶然も積み重なれば必然に変わる……のかもしれない。

「ハナレイ・ベイ」
カウアイ島のハナレイ湾で息子が鮫に食われて死んでしまう。以来、サチは命日が近づくとハナレイ・ベイを訪れ、海を見て過ごす。幽霊が出ます!

「どこであれそれが見つかりそうな場所で」
マンションの中で突如消えてしまった夫の捜索依頼を出す妻。依頼された謎の男はマンション内部で何かを探し始めるが……。ちょっとトワイライトゾーンっぽくなりそうなのに、何も起らないのが残念。

「日々移動する腎臓のかたちをした石」
「男が一生に出会う中で、本当に意味を持つ女は三人しかいない」と親に言われ、その言葉が強迫観念と化した男の物語。すでに三人分使い果たしてしまったであろう私としては、読んでいてなんだかせつない。

「品川猿」
これが一番あり得ない。猿に名前を盗まれて、自分の名前がわからなくなるのだ。でも、一番村上春樹っぽい気がする。「羊男」や「TVピープル」みたいなウソっぽい系統が好きな人なら気に入ると思う。

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