世界音痴

2006年11月25日 読書
ISBN:4093873739 単行本 穂村 弘 小学館 ¥1,365
歌人、穂村弘は三十九歳。バブルのただなかに青春を過ごし、気がつくと独身、総務課長代理だ。母親が部屋の前に置いた菓子パンをベッドでむさぼり食い、自己啓発本とビタミンを青汁とともに服用し、十五年間窓を開けていない部屋で漫画とエロ本に囲まれつつ、インターネットで昔の恋人の名前を検索する日々。「自分かわいさ」をひたすら突き詰めて生きてきた僕たちは、今、回転寿司屋のカウンターで、永遠に回る寿司の輪廻をひとり見つめている。人生って、これでぜんぶなのか、すばらしいことって、いったい何だったのか。「世界」に憧れつつも「世界」に入っていけない「青春ゾンビ」の日常と心情を赤裸々に綴る、爆笑そして落涙の告白的エッセイ。

世界音痴の穂村さんが淡々と独白。こういう、世界から少しだけズレてしまっている人って好きです。「世界」という波に上手く乗れなくて、でもなんとか顔だけは海面から出ていて脱力している感じ。(完全に溺れた人は練炭とか使ってしまいます。)中途半端な人生のまま無為に過ごし、退廃的諦めモードの男性に捧げたい一冊。

うーむ、これを読んで俺と穂村弘との致命的な違いに気づいてしまったぞ。
何よりも自分が一番大好きな穂村弘。
他人も大嫌いだが、自分すら大嫌いな俺……。

きっと、彼我の隔たりは天界と魔界の狭間よりも大きい。

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