ISBN:4150115346 文庫 風見 潤 早川書房 ¥840
こいつは奇妙だ!風変わりな異星生物を飼うのが趣味のサイモン・クレスが見つけた新たなペット、それがサンドキングズだった。指の爪ほどの大きさで、6本の手足と、3対の小さな眼。集合意識により一団となって城砦を築き、さらには城砦同士で戦争をするほどの知能がある。しかも飼い主を神として崇拝するというのだが…ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞の表題作の他、壮大な宇宙史を背景に描きだされた魅惑の6篇を収録。

マーティン初挑戦。七王国の玉座ではなく、あえてこれを選んでみる。表題作が気になったし。7作品入っているが、よくわからない話も多い。

「龍と十字架の話」
キリスト教の教義を巡って、異端派を排斥する話。その惑星に広まっている教義では、何故かユダが英雄で龍王となっているのだ。オールド・アースにおける歴史も書き換えられている。宗教って、遥かな未来世界でも現在と同じように、くだらない事を繰りかえしていそうで嫌だなぁ。まあ、現状から行けば、宇宙に宗教が持ち出されても、多数派となるのはキリストじゃなくてイスラムな気がしますけど。

「ビターブルーム」
ヴァンパイアがいる冬の世界で魔術師と過ごす話は、一見ファンタジーだけど、最後の最後でSFになる。魔術師の正体はソレでしたか。これは、文明圏外で遭難してしまった人々の末裔が住む世界なのだろうか?

「<蛆の館>にて」
蛆の化け物みたいな二種族が地下世界で戦っている話。これが一番訳わからない。描写も気持ち悪い。上の方へと追いやられているヤラ=ガ=ヘイと、下から上がってきたグロウン。第三の種族を自称する“肉はこび”。遥かな過去に蜘蛛や蛆を作った伝説のチェンジマスター。グロウンの世界よりもさらに下で増殖する巨大なタイショクチュウ。これは食事中に読んだら駄目ですな。

「ファスト・フレンド」
光速で飛ぶ<点滅体>、その<点滅体>を捕食する<暗黒体>。即ち、<暗黒体>は光速よりも早く飛ぶのである。<暗黒体>は人間と融合する事が出来る。融合に成功した人間は肉体的、技術的な制約から解放され、自在の星々の海を渡る事が出来るのである。但し、シンクロに失敗した場合は消滅して死んでしまうのだが。恋人と共に志願し、適格者として選ばれた男。恋人は融合に成功して宇宙の彼方へ飛んで行くのだが、男は自分の順番がまわってくる直前で、融合に失敗し破裂した女性を見て逃げ出してしまう。

「ストーン・シティ」
謎の古代遺跡がある、人類がほとんど訪れない惑星に、事実上軟禁されてしまった男が、異星人から盗みを繰り返しつつひたすら人類の宇宙船を待ち続ける話。人類文明圏を遠く離れて身動き取れなくなるのは辛そうだ。最後は異星人を殺害してしまい、誰も戻って来ない、遺跡の地下へと逃げていく。

「スターレディ」
女性が悪漢と戦う話も、いまいち掴めなかった。一人二役以上の話のようだが、誰が誰でどうなったのか、読み返してもよくわからない……。多重人格? 多重体?

「サンドキングズ」
表題作となったこれが、一番面白かった。他のと比べて単純明快で良い。知性を持ち、飼い主を神として崇拝する昆虫型の異星生物。女王みたいなやつが行動体を増殖させて砂の城を築いていく。各女王から増えた行動体は色分けされており、戦争をするのだ。ショップで買った際に、餌は十分にあげるようにと言われていたのにも関らず、戦争がみたいという理由でサンドキングズを飢えさせた男は……。

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