アグレッサー・シックス
2007年2月11日 SF特集ISBN:4150115079 文庫 冬川 亘 早川書房 ¥756
西暦3366年、突如オリオン座方面から、謎の異星人艦隊が侵攻した。彼らは圧倒的な戦闘力で人類の防衛艦隊を撃破、シリウス、ウルフ、ラランデの各星系内の植民地を次次に殲滅し、数十億の人類が死に絶えた。敵が次にめざすのは地球。絶望的な状況のなか、人類に残された最後の希望は、“アグレッサー・シックス”―敵の言葉を話し、敵のように生活し、思考することを任務とする特殊チームが立案した驚くべき戦術だけだった。
設定は非常に良いのだが、肝心の登場人物があまり活躍しない。最後のほうまで敵になりきる遊びをしているようにしか思えない。
太陽系近辺の恒星までその領域を広げた人類に攻撃を仕掛けて来た謎の存在。シリウスが攻撃されたとの知らせを受けた時には、敵は二つ目の殖民星系を陥落させつつあった。圧倒的な戦力差で迫る異星人艦隊。人類は一方的に殲滅されて滅亡寸前となる。
存亡を賭けて、外宇宙への脱出、大深度地下や小惑星での冷凍睡眠等、いくつかのプランが実行される。その中のひとつが、敵になりきり、敵として思考する事で内情を探ろうという試みだった。敵は二つの頭脳と四本の足、四つの性別を持つ、人類とはかけ離れた存在だった。クイーン、ドローン、ワーカー、ドッグと名づけられた四タイプに分かれて、敵を分析するのだ!
うーん、やっている事がテーブルトークRPG にしか見えませんが……。
ラスト付近で明かされる、敵にとって意味する「戦争」の位置づけが間抜け。そんな、犬の喧嘩みたいな理由で遠征艦隊を送り込んできて、人類が滅びかけるんですか……。起死回生の策はあるけれども、勝利する訳では無いから不完全燃焼。
人類存亡の危機に立ち塞がる最大の障害が、無能な上司というのが笑える。無能な上司は、人類を滅亡させる事だって出来るのだ!
基本的に、ダメっぽいSFだけど、「放課後防衛隊」の後だけに、良作に思えてくるな(笑)。
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