ISBN:4862380271 単行本 津原 泰水 バジリコ 2006/09/20 ¥1,680
大麻を隠し持って来日したポール・マッカートニーが一曲も演奏することなく母国に送還され、ビル・エヴァンスがジョン・ボーナムがジョン・レノンまでも死んでしまった、1980年(昭和55年)。醒めた熱狂の季節に、音楽にイカれバンドに入れあげるボーイズ&ガールズが織り成す、青春グラフィティ。クラシックの、ジャズの、ロックの名曲にのせ、総勢三十四名のメンバーたちが繰り広げる、大群像劇。四半世紀の時を経て僕らは再結成に向かう。吹奏楽部を舞台にしたほろ苦い「青春」小説。
表紙がこんなんだから、高校生が主人公の、普通の青春音楽小説を連想してしまうけど、全然違った。物語の舞台は現在、すでに登場人物は中年男性、中年女性。中には、すでに他界してしまった人もいる。現在から過去に遡り、80年代の高校生活を振り返る形式。なので、出来ればおっさん、おばさんになってから読むべし。普通に高校生が読んでも、真の意味で当作品を読みきる事は出来ないだろう。結構ページ数多いけど、流れるように読めた。ブラスバンドが主体の音楽小説ではないけれども、これはこれで面白い。
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