DVD 東宝 2004/11/26 ¥3,990
茨城県・下妻に住み、ぶりぶりのロリータ・ファッションに身を包んだ少女・桃子(深田恭子)がヤンキーのイチゴ(土屋アンナ)と出会い、数々の騒動に巻き込まれながらも強力な生き様を貫く、嶽本野ばら原作のハイパーパワフルな乙女たちの純情物語。「私はマリー・アントワネットの生まれ変わり」という発言をしたフカキョン嬢をTVで見た中島哲也監督がキャスティングしたことで、この映画の成功はほぼ約束されたようなものだ。「ロココ調の18世紀のおフランスに生まれたい」と懇願し、あぜ道をヒラヒラファッションと日傘で、牛のウンコふみながら歩く桃子とフカキョン嬢は一卵性双生児ではないかと思えるほどのハマリ役。その彼女を生かすため、中島監督は全編をコミックタッチで演出。色があふれそうな映像のトーンとハイテンションなキャラクターたちが火に油を注ぎあい、鑑賞後には根拠のない前向きなイケイケ感を噛みしめてしまう傑作。
名前からしてあまり食指が動かないし、著名人が売るために適当なヨイショをしまくるのもよくある事なので、どうせ邦画にありがちなつまらない作品だろうと、あまり期待はしなかったのだが、よく行くレンタル店舗では年中貸出中で、ケースに収まっているのを見た事が無かったので、もしかして本当に面白いのか!? とも思いつつ……。
ようやく観た!
生きてて良かった!
流石にちょっと大げさか!?
なんだ、邦画もやれば出来るじゃないか。この監督は天才だな。絶妙な特撮といい、カメラアングルといい、辛口な私でも貶す場所がありませぬ。こういうのが観たかった! 駄目な邦画ばかり作っている監督は、これ観て勉強したまえ。邦画にありがちの駄目な部分(画面がやたら暗いとか、音響がやたら聴き取り難いとか、登場人物がつっ立って台詞棒読みで映画なのに劇だとか)が見当たらないのは、CM監督出身だからだろうか。瞬間の見せ場を心得た素晴らしい映像に仕上がっている。
尼崎で育ったバリバリ関西人なはずの桃子は、結構不幸なシチュエーションで育っているはずなのに、その全てを自らの都合に合わせて作り変え、徹底して人生を楽しんでしまう超絶電波娘。本当は不幸なのに精神的に暗示をかけて良かった探しをしているポリアンナなんて足元にも及ばないだろう。なんせ、不幸な状況をもひたすら利用して、物質的な現世の快楽を享受しているのだから。
ロココに傾倒するこの甘ロリ電波が引越し先の下妻で、父が作ったパッチもん(贋作)ベルサーチを売ろうとした時、一人のヤンキーと運命の出会いが待っていたのである。
評価:SA
エンタとしては、今まで観た邦画の中で最強!
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