フィッシュストーリー
2007年7月24日 読書ISBN:4104596027 単行本 伊坂 幸太郎 新潮社 2007/01/30 ¥1,470
あの作品に登場した脇役達の日常は? 人気の高い「あの人」が、今度は主役に! デビュー第1短編から最新書き下ろし(150枚!)まで、小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。
しまった……。まだ過去作品を全部読みきれていないのに、この本を読んでしまった。なんか、いろいろな部分でさりげなく過去作品とリンクしている。ほんの隠し味程度で、恩田陸がやるみたいに前作読んでない人不可なあざとさは無いので、別段問題は無いのだけど、ちょっと失敗した気分。まだ未読の人は、これ以前の作品を押さえてから読んだほうが良いです。過去作品も微妙に繋がっているのがあるので、執筆順に読み進めたほうが良い。
相変わらず上手いけれども、小奇麗に纏まりすぎていてサプライズが足りない。やはり、伊坂は長編のほうが良いね。以下、ちょっとネタバレっぽい感想あり。要注意!
「動物園のエンジン」は、ニヤリとする部分がよく判らず戸惑う。これは、何を楽しめば良いのか……。過去作品を全部読んでいないから駄目だったのだろうか。
「サクリファイス」は、人里離れた寒村を舞台にした、ちょっとだけ気味悪い話。真実が明らかにされないまま、主人公が探していた人物が遺体で発見されたという事実だけが残る。村人も秘密を隠したままで気味悪いのだが、それに動じない主人公も得体の知れない男なので負けてはいない。
「フィッシュストーリー」は、過去、現在、未来が交錯する形で、伊坂作品らしい出来栄え。過去の出来事が現在に、現在が未来に影響を及ぼす。小道具の使い方も良い感じだ。
「ポテチ」は、ちょっとだけ感覚がズレた泥棒が良い味を出している。
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