ISBN:4043470029 文庫 小林 泰三 角川書店 1999/12 ¥520
パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本ホラー小説大賞短編賞をあの名作「玩具修理者」で受賞した著者が、内臓の匂い漂う絶望と恐怖の世界を構築した表題作に、二編を加えた待望の第二作品集。
表題作は、豚の臓器を移植されまくって生きながらえる少女の苦しみ。単に臓器移植を取り上げただけではなく、やはり小林泰三らしくひたすらグロい。最後の最後が、やはり邪悪。
「吸血鬼狩り」は、ちょっとアッサリしすぎだった。ラストにドンデン返しが待っているとばかり思っていたら、そのまま素直に終わってしまい、伏線も何も無かったので物足りない。
「本」は、同級生に配られた謎の本の影響で、読んだ人間が次々に狂っていくホラー。一見、普通の呪いに思えるが、もっと大きな何物かの意思が働いており、暗黒神話体系みたいな気味悪さが残る。
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