ISBN:4048737007 単行本 桜庭 一樹 角川書店 2006/07 ¥1,470
わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。親友の雪風との静かで完成された世界。だが可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き込んで……。

題名が少女七竈なのに、冒頭に出てくる女性は25歳。ちょっと少女と呼ぶには無理がありすぎるんじゃないかと思いきや、この人は主人公ではなく、少女七竈を産む事になる母親なのであった。面白みに欠ける人生を真面目に生きてきた母は、突然壊れ、短期間に七人もの男を喰らい尽くす。そして産まれて来たのが七竈。

淫乱の母を持ち、父親が誰なのかは判らないはずなのだが、凡庸な母に似ず、とても美しく育つ七竈の姿が、誰の遺伝子を受け継いでしまったのかを、ほぼ証明してしまっている。かつて母と交わったうちの一人で、唯一の超美形だった男は、今では幼馴染の少年雪風の父親。鉄道模型で硬く結びついた二人だったが、お互いに、あえて核心からは目を逸らしたままで生きている。しかし、どんどん似てくる二人。雪風の妹、夢実も七竈そっくりに成長し始める。やがて訪れる少年との決別。

白雪姫と七人の小人みたいな話かと思ったら、全然違った。七竈と雪風の満たされぬ想いはせつなくて可愛そうだけど、大人たちは可愛そうじゃないです。

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