アナスタシア―消えた皇女
2007年9月20日 読書ISBN:4042778011 文庫 広瀬 順弘 角川書店 1998/07 ¥1,050
1920年2月、一人の若い女がベルリンの運河に身を投げた。彼女はすぐさま病院に収容されたが、所持品から身元を明らかにすることは出来なかった。翳りのある青い瞳、気高さの漂う身のこなし。ロシア宮廷について豊富な知識を持つこの不思議な女性は人々の噂になり始めた。驚くべきことに、彼女こそ、ロシア最後の皇帝ニコライ二世の娘、アナスタシアではないかというのだ。皇帝一家はロシア革命の際、全員銃殺刑に処せられたとされている。果たして、この女性は、真実、ロマノフ家の生き残りなのだろうか…?一人の女性の数奇な運命を綴る、今世紀最大の歴史ミステリー。
アナスタシアらしき女性がベルリン運河に身を投げたという話は聞いた事があったが、そこで死んでしまったとばかり思っていた。実際には、すぐに助け出されていたのだが、もしも本書に書かれた事が本当ならば、ディズニー映画とあまりにも異なる凄惨かつ衝撃の事実に愕然とする。果たして彼女は本物のアナスタシアだったのだろうか? 今となっては謎に包まれている。
一度は彼女をアナスタシアだと認めつつも、ロマノフ王朝の海外資産を狙い彼女を否定する亡命貴族達。その真偽を巡って長きに亘る争いとなる。数奇な運命を歩んだアナスタシア。本書はノンフィクションの形になってはいるが、どこまでが事実なのか混乱してくる。
それにしても、ロマノフ王朝の遺産はどこへ消えてしまったのだろうか。皇帝一家のものとされる遺骸を詳しく調査しないのも、アナスタシアについて曖昧なまま放置しておくのも、真実が白日の元へ晒されると都合が悪い何者かが、闇へ葬り去ろうとしているからではないのか!?
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