三ヶ月の魔法
2007年10月5日 このライトノベルがすごい?ISBN:4757707118 文庫 上島 拓海 エンターブレイン 2002/01 ¥672
突然「意思の力」でモノを動かせるようになった長野県松本市の市民たち。しかし、高校2年生の主人公"大町大五"だけは、この「魔法」を使うことが出来なかった…。そんな時、彼の前に現れたイングランドの魔法使い"武石エドワード"によって大五の運命は大きく変わっていく…。
ある日、松本市に住む人々ほぼ全員が魔法を使えるようになってしまった。全員ではないところがミソである。唯一、魔法が使えないままの少年が主人公となるのだが、みんなで空を飛んでいるのに自分だけ凡人という状況は耐え難いだろうなぁ。魔法の効果範囲は松本市周辺だけで、その外側に出ると使えなくなってしまう。逆に言えば、市外から入ってきた人々は魔法が使えるようになってしまうのだ。魔法効果によって賑わい、景気が良くなる松本市。しかし主人公だけは魔法が使えない!
このように、設定としては面白くなりそうなのだが、終盤に向けての盛り上がりがイマイチ。この摩訶不思議現象を起こしているのが、グランと呼ばれる悪戯大好きな性悪魔法使いのジジイなのだが、飽きて来ると効果範囲内にいる人間を眠らせたまま去って行こうとするのだ。しかし、主人公だけは眠らない。魔法攻撃が効かないのである。魔法が使えない代わりにその影響も受けないという、類稀なアンタッチャブルだという存在だったらしい。
英国から派遣されてきた魔法使い組織の男エドワードと共に、グランと対峙する事になるのだが、バトルがまた盛り上がらない。癇癪ジジイとのヘタレな戦い。そしてその結末もショボ……。素材は良いのだから、もう少し何とかならなかったのかね?
真夏が舞台なので、眠らされている人々が夜に凍死する事は無いだろうという部分があるが、ならば道端で倒れている人々は日中に熱中症で死ぬのでは!? 日本語も物凄くおかしい部分があって萎える。下手とかじゃなくて、明らかに文章がおかしい。例えば78ページ。
もう一人いたジーンズの男が支払いを終え、キャッシャーからカウンターに行ったつかさに、つかさの父が声をかけた。
「ほぉ、あれがつかさのボーイフレンドか?」
と思いつつ、つかさは父親の背中をバンバン叩きながら、「あれは同級生の大町大五」とだけ言った。
(78ページより抜粋)
いろんな父がいるのならともかく、つかさの父しか出てないんだから、父で良いような気もするけど、重複程度ならばせいぜい悪文の範囲。しかし、その後の繋がりは!? つかさの父が「ほぉ、あれがつかさのボーイフレンドか?」と声をかけたのかと思ったら、その後に“と思いつつ”とあるから、声をかけたのは別で、この部分は思っただけの心の声か!? しかしその後に、つかさは父親の背中をバンバン叩くので、思ったという主語はつかさ? ラノベ好きな高校生あたりが勢いで書いて受かってしまったのかと思いきや、著者は結構な年齢だった。ならば、もう少し何とかならなかったのか!? プロなんだから、出版物になる前に、もう少しチェックしてあげたら良いのに、ラノベって編集者もレベル低いのだろうか?
このラノベは、日本語が変!
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