ISBN:4885365392 単行本 平谷 美樹 つり人社 2005/12 ¥1,890
岩手沿岸北部を流れる「歌詠川」には18kmの毛鉤釣り専用区間が設定されている。川を守るリバーキーパーたちのほろ苦いガイドの日々、理想の川造りに残りの人生を懸けた漁協の長老、釣りにのめり込む夫と家族の葛藤、川の小さな命を守るために大人と闘う少年。そして訪れる、大災害の危機―。歌詠川の明日に希望を託した男たちの夢と哀しみを鮮やかに描き切った快作。
釣り好きなあるサラリーマンが、日常に嫌気が差し、辞めるつもりで会社をサボって釣りをするのだが、思い直して会社へ戻る事にする。その男が釣りに行っている事を知り、駆けつけた後輩が代わりに辞めてリバーキーパーになってしまう。
ストレスをガイドに発散する嫌な客が来たり、ある物を護ろうとして釣り人に石を投げる少年が出てきたり、密猟者を捕らえようと張り込んだら意外な姿をした相手が現れたり、歌詠川を舞台に様々な事件が起こる。フライフィッシングに興味が無い人が読んでもそれなりに楽しめる。
初め、同姓同名の別人が書いたのかと思った。普段はSFを書いているのに、何故か釣り小説、しかもつり人社から出ている。どうやら、趣味のために書いた話らしい。専門用語が多いので、釣りをしない人間には辛いものもあるが、知らない言葉は巻末にある用語集で調べられる。読み終えてからその存在に気づいたのは失敗であった。
コメント