占星師アフサンの遠見鏡
ISBN:4150110530 文庫 内田 昌之 早川書房 1994/03 ¥756
人類同様の知性をもつ恐竜キンタグリオ一族は、世襲制の国王のもとで中世ヨーロッパ的な文明社会をきずいていた。アフサンは見習い占星師。宮延占星師の弟子として勉学にはげむ毎日だが、神を絶対的なものと考え、森羅万象を非科学的に解釈する師の教えに不満を感じてもいた。そんな彼が最新発明品の“遠見鏡”を手に観察をはじめたとき、その眼前に開けた新しい世界観とは。真実を求める少年恐竜の成長を描く冒険SF。

表紙を見て焦った。ただの肉食恐竜にしか見えないやつが、スケッチブックのようなものを抱え、遠見鏡を持っていたから。(新しい表紙しか見つからなかったのだが、古いほうはこれよりもっとベタベタな恐竜人間のイラストだった。)

一見、恐竜人間を主人公にしたファンタジーみたいに思えるのだが、世界の真実に近づくにつれ、一気にSF化してくる。中世レベルの文明を築いているキンタグリオ族に、占星師見習いのアフサンがいた。彼は、神と出会う巡礼の旅で、神とされるモノの正体に気付くのだが、自分がいる世界に終末が近づいている事を知る。

彼は帝都に戻り、危機を訴えるのだが、宗教家の陰謀によって捕らえられ、悪魔として両目を潰されてしまう。なんだか……。人類以外の知的生命体でも、神が無力無能で、神を信じる者が馬鹿で、神を信じる者をさらに信じる信者が馬鹿以下の糞なのは共通仕様なのでしょうか? 科学が必ずしも正しいとは限らないが、宗教が正しかった事など、過去一度も無かったと思う。

この物語、三部作として完結しているのだけど、残念な事に邦訳されているのは第一部のこれのみ。恐竜人間が主人公だから、あんまり売れなかったんだろうな。マニアには評価が高いのだが、やはり商業的には不作だから残りが放置されたままなんだろうな……。今回が恐竜少年ガレリオで、次は恐竜少年ダーウィンらしい。続きが読みたいです。お願いします、出版して下さい。

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