カズムシティ

2007年10月18日 SF特集
ISBN:4150115710 文庫 中原 尚哉 早川書房 2006/07 ¥1,512
身近警護の専門家タナー・ミラベルは、雇い主一家を惨殺した黒幕レイビッチを追って、故郷から遠く離れたイエローストーン星に到達した。だがそこで目にしたのは異形の都市カズムシティだった。謎のウイルスによる“融合疫”の発生により、建築物はあたかも新種の植物のように成長し、複雑に融合しあって奇怪なジャングルと化していたのだ…異形の街を舞台に展開するノンストップ・ハードボイルド・アクション超大作!英国SF協会賞受賞作。

またしても長い! これは本当に嫌がらせでしょうか!? アレステア・レナルズが分冊禁止とでも注文つけたのか? 何でこんな分厚いままなのか疑問である。全部で1135ページ。前作よりも長くなってしまった。背表紙に負担がかかりすぎて本が痛むっちゅうに!! 読んでいる間も重くて手が疲れるし。

圧倒されて読む気力すら無くなりそうな、まるで辞書のような分厚さではあるが、テンポは良いのでそれほど苦労はしない。これで文章が難解なら悪夢だろう。「啓示空間」は異なる恒星系と近光速船という、空間を隔てたパートで別々の話が収束していく形だったが、この作品では時間によって各パートが隔てられている。

愛する者を奪われた戦士が復讐のために敵を追い、戦乱に明け暮れる辺境惑星スカイエッジから繁栄を極めたイエローストーンへ。別パートでは人類初の大規模移民計画で他の恒星系へと向かう五隻の宇宙船内部の出来事が語られる。今回は空間ではなくて時間によって隔てられているので、最後に繋がるとは思えなかったのだが意外な接点で纏ってしまった。

次から次へと事件が起こり、一見すると本筋には全然関係無い脇道にしか思えないのだが、全てがラストへ向けて張り巡らされた小道具であり、過去と現在も最後で繋がる。隠し味的に、「啓示空間」の登場人物もさりげなく登場する。

それにしても長かった。しかしこの長さが英国標準? 当初は半分の長さだったのを、短くて売りにくいから長くしてくれと言われて、こんな長編になってしまったらしい。日本人にとっては、半分でも十分に長いですよ(笑)。続編も翻訳進行中っぽいので、出たらきっと読むだろうけど、また異様な分厚さなんだろうなぁ……。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索