この人と結婚するかも
2007年10月19日 芥川賞・直木賞ISBN:4087748731 単行本 中島 たい子 集英社 2007/09 ¥1,260
第133回芥川賞候補作
「漢方小説」のすぐ後に書かれているはずなのに、一向に書籍にならず、他の作品ばかり出てくるからどうしたのかと思っていたら、ようやく出てきた。しかし、妄想系の痛い主人公で、漢方小説より悪くなってしまった。期待していたのだが、どうもイマイチである。
すでに付き合っている状態で「結婚するかも」と思う話かと思ったら全然違った。少し電波入っている女性が、これはと思う異性が出てくるとすぐに「この人と結婚するかも」と、妄想に耽ってしまうのである。ただの友達、既婚者、英会話教室にいた男、スーパーですれ違っただけの男……。これは痛い。かなりの電波さんである。大道珠貴作品みたいな毒電波女じゃなかったので、まだマシではあったけど。こういう妄想垂れ流し系は、あまり食指が動かない。妙齢の女性が読めば、上手くフィットするんじゃないでしょうか?
もう一編入っている括弧「ケイタリング・ドライブ」は、男性版の妄想垂れ流し系。しかも登場人物独り語りで妄想垂れ流しなので、相当キモイ。しかし、こちらのほうが面白かった。
山奥で行われるパーティで料理を作らされる羽目になった男が、借りてきたレンタカーに食材を積んで目的地へと向かうのだが、意中の女性が上手く落ちなかったので(何の行動もしていないのだから当然ではある)ウダウダグダグダと悩みつつ、パーティ会場へ行くか行かないか悩みつつ、途中で寄り道して時間に遅れつつ、それでもキッパリと決断出来ずに到着してしまうのである。こちらは、モテナイ君な男性陣が読めば、上手くフィットするんじゃないでしょうか?
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