ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く
2007年12月6日 読書ISBN:4140812397 単行本 塩原 通緒 日本放送出版協会 2007/06 ¥3,045
物理学界がいま最も注目する5次元宇宙理論とは? すぐそこに存
在するという第5の次元はなぜ目に見えないのか? そもそもそれは存在するのか? 現代物理学の歩みから最新理論までを数式を一切使わずわかりやすく解説したベストセラー。
リサ・ランドールはプリンストン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学で終身在職権をもつ女性教授。まだ若いのに、これは凄すぎる。競争の無い日本の硬直した学閥システムでは、どれ程実力があろうと、絶対にこのポジションに就く事は出来ないだろう。どの位凄いかというと、東大と早稲田と慶応義塾で教授になって、さらに界王拳100倍位凄いハズだ! 上3つの大学は、世界大学ランキング一桁に入りそうだけど、東大なんて最も難しかった第二次ベビーブーマー世代当時ですら100番位ですからね。
なんか変なサブタイトルを付けられているがために、今流行りの五次元ブームに乗っかったトンデモ本と同列だと誤解されてしまいそうだが、これは英米の超一流大学でテキストとして使われている物理学の本なので、オカルト書籍のつもりで買ったりしないように!
数式を使わずに、出来るだけ判りやすく説明してくれてはいるのだが、内容が四次元立方体とかプランク定数とか超ひも理論なので、やはり一般人が読むには難解。例えば、三次元を二次元に置き換えて、二次元世界上で三次元球体が通過した際の見え方は、円が大きくなり、中心を越えると小さくなるという説明をされるのだが、これを一次元上乗せすると……。三次元世界を四次元立体が通過した場合は、球が拡大縮小するように見えるというのだが、実際には四次元立体は球体では無いのである。高位次元世界なんて見た事が無いので、ちっともイメージが出来ません。
こういう想像の域を超えられない仮説だけでなく、後半は純粋に物理学の話になっていく。題名から考えると、宇宙を舞台にしたSFっぽい内容をイメージしてしまうが、実際には本書で扱われているのは極小世界である。ヒッグス粒子等、まだ発見されていない存在を、高性能の粒子加速器で見つけ出す為の試みは、すでに始まっている。SFで出てくる光速よりも早く動く事しか出来ないタキオンは、理論上の誤りで考え出されたものであるとされ、本書では否定されてしまった……。
タキオンは無かったのか。じゃあ、これからのSF作家はタキオンを使えないね。少し残念だ。
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