ISBN:4101265321 文庫 米村 圭伍 新潮社 2002/09 ¥620
吹けば飛ぶよな二万五千石の小藩に五十万石の姫君が異例のお輿入れ。そのうえこの姫君、美貌ながら生来のいたずら好きときています。退屈しのぎに屋敷を抜け出し、江戸城下を探検、藩の六不思議の謎解きに血道を上げる日々。ところが、田沼意次も絡んだ陰謀まで探り当てたから、さあ大変。幕府隠密、くノ一、長屋の町人も巻き込み、姫の貞操と藩の命運を賭けた大勝負の始まり始まり。
陸奥磐内藩五十万石国主の末子として産まれためだか姫が、風見藩へ嫁入り。父から縁組を言い渡された当初は、百二万石の前田家か、六十二万石の伊達家か、南国は暑いから島津家、黒田家、細川家、鍋島家は嫌だとか思っていたら、聞いた事も無いような相手が嫁ぎ先。風見藩は、僅か二万五千石の小藩だったのだ。これには姫もちょっとビックリ。しかし、相手が弱小でも我侭言わずにちゃんと嫁いでしまう。しかも、結構気に入っているっぽい。
題名は退屈姫君だが、やる事がなくて退屈していたのは最初だけ。田沼意次が改易を狙って、陰謀を張り巡らしてくるのである。なんとか風見藩を守ろうと、じゃじゃ馬姫が奮闘を始める。田村が相手じゃ退屈している暇なんてありませぬ。
それにしても、田沼意次って悪役に最適で、ある意味、素敵ですな。是非、究極悪代官の称号を贈りたい。悪評の何割かは失脚後、反対派によって捏造されている部分もあるし、政治センスはあったのだから必ずしも悪代官タイプとは言い切れない部分もあるのだが、やはり「奇麗事だけで政治は出来ない」とか「政治には金がかかる」という言い訳は現代の某汚職まみれ大政党を含めて、絶対に認めたくはないので。イメージは典型的悪役タイプなままでOKです。
今回はなんとか田沼の陰謀を阻止出来たのだが、勿論、このままでは終わらないのだろう。シリーズ化しているので続編も読みたい。
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