ISBN:4828825126 単行本 石黒 達昌 ベネッセコーポレーション 1995/08 ¥1,529
戦争、クスリ、多重人格―90年代の生と死。マラソンの素人に近かった女性ランナーがクスリを使用し、世界記録を上回るペースで来た40キロ過ぎに突然死した。その死を巡って複数の毒物に関わった研究者、医師が、麻薬や毒物の研究と症例を生々しく裁判の証言で語る表題作ほか2篇を収録した最新作品集。
これは、「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士、並びに、」と比べたら面白みに欠ける。小説というよりも、全部が何かのレポートみたいになっているし。設定としては面白いのだけれども、小説として楽しむには異端すぎる。文章も硬質だから、学術系の専門書を読まされている感じになる。
湾岸戦争絡みの傭兵に焦点を当てた、イラク内部にある国家内国家といった感じの勢力に関するレポートみたいなもの。特殊な薬を使用した医学関係者に対する証人喚問みたいな形式のもの。刑務所の囚人による反乱事件に絡んだ、ある精神異常者に関するレポートみたいなもの。全てが小説っぽくない。
コメント