厭犬伝

2008年1月7日 読書
ISBN:4103059516 単行本 弘也 英明 新潮社 2007/11 ¥1,260
戦うことで、俺たちは成長していく――美青年と少女、そしてその分身たちが決闘、また決闘! 魑魅魍魎が跳梁跋扈する妖しげな異世界。ここでは人間の骸から生えた「汚木」から、操り人形の「仏」を作る風習がある。主人公の厭太郎は、ひょんなことから仏師の娘・犬千代と、命を懸けてお互いの仏同士を決闘させるはめに。格闘ゲームの狂気と民俗学的世界観を見事に融合させた、25歳の俊英が贈る傑作☆新種ファンタジー!

第19回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

毎回思うのだが、この賞は他と比べてやたらレベルが高い。この賞を受賞する人々は本当に新人なのだろうか? 文芸賞あたりと比べたらもう、段違いどころか桁違いである。

この作品は和風ファンタジーといったところか。賞の名前が日本ファンタジーノベル大賞であるのに、全然ファンタジーっぽくない作品が多いのが困り物なのだが、これは普通にファンタジー作品だった。

物語の舞台は東国。とはいっても東国王府という独立した存在になっているし、現実世界の古代日本ではなくて、日本っぽい異世界での物語。背景世界についてはほとんど語られないので詳細は不明。

主人公の厭太郎は山野に分け入り罪人の追跡、監視を行う岳稜警の一員である。ある時、国の上層部とも繋がりがある男を殺してしまい、何者かの圧力により、咎人側からの仇討ちを受けなければならなくなってしまう。相手は、殺した悪人の娘、犬千代。普通の果し合いではなくて、合(あわせ)での決闘を行う事になってしまうのだが……。合というのは自らが戦うのではなく、汚木から作られた仏同士を戦わせるというものである。

せっかく興味深い異世界なのに、物語の大半が合による仏同士のバトルなのは残念。ゲームにしたら面白そうだが、延々と文章で読まされるのは辛い。筆力はあると思うので、次回作に期待したい。

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