ISBN:4104541044 単行本 三浦 しをん 新潮社 2006/09/21 ¥1,890
箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。
実績も何も無い、素人だらけのチームが箱根駅伝に挑む。走る事を諦めきれない男が、下宿にいる仲間を強引に誘って走り始めるのだが、マンガばかり読んでいる弱っちょろい男とかも混じっていて、このメンバーでは絶対に無理だろうと思えるような絶望的な状況からスタートする。走らされている本人達も、最初は無理だと思っていたのだが……。
三浦しをんなのに面白いじゃないか! ちょっとご都合主義な部分はあるけれども、メリハリもあるし、駆け引きや予期せぬトラブル等で波乱万丈な展開で、良い感じのエンターテインメント作品に仕上がっている。これ、直木賞受賞の「まほろ駅前多田便利軒」より良いのでは!?
箱根駅伝10区間分の登場人物が必要だから、影の薄い人が印象に残らなくて困った。主要メンバーが常に10人もいる状態で読み進めるのはちょっとキツイ。しかし、こんなに出てきた状態でもギリギリ。これより少ないと、箱根駅伝に出られないのだ。よって、必要最低限の10人で戦う事になる。事故や病気になっても代わりはいない。誰一人、失敗する事は出来ないのだ。
ちなみに、表紙裏表紙がそのままネタバレになってしまうので、本番が始まるまでは、あまりジックリと眺めないほうが良いと思う。
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