ISBN:4838713886 単行本 瀬尾 まいこ マガジンハウス 2002/11 ¥1,470
捨て子だと思っている小学校4年生の育生、妙ちきりんな母親、そのとぼけたボーイフレンド、不登校の同級生、血の繋がらない親子を軸に、「家族」を軽やかなタッチで描く。坊ちゃん文学賞大賞受賞作に書き下ろし1編を収録。
自分が捨て子だと思っている少年と、ちょっと変わった母親のやり取り。捨て子ではない証拠にヘソの緒を見たいと頼む少年に、母親は卵を見せる。少年は、卵から産まれたのでヘソの緒は無いのだ(笑)。
母親は上司と恋仲となり、やがて少年に新しい父親と妹が出来る。血統が介在しない親子の絆。こんな母親は滅多にいないだろうけど、ほのぼのした物語で読後感は良い。
同時収録の「7’s blood」は、一緒に住む事になった姉と弟。しかし、姉は本妻の子で、弟は愛人から生まれたので、お互いに知らない者同士なのである。自分を裏切った証とも言える愛人の子を引き取る母親、醒めた感じの女子高生、その境遇故に大人に取り入る術を身に付けた小学生。
ややアッサリしすぎで、設定については胡散臭さも感じるのだが、雰囲気はとても良い。
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