喪失記

2008年2月10日 読書
ISBN:4041835062 文庫 姫野 カオルコ 角川書店 1997/12 ¥504
カトリック神父のもとで育ったイラストレーター・理津子の前に、本能のままに生きる男・大西が現れた。精神と肉体の変化、個人と社会の関わりを残酷なまでに孤独な女性を通して描ききった力作長編。

愛される筈が無い、選ばれる筈が無いという怨念でかたまった、三十路すら何事も無く過ぎ去って行きそうな喪女の悲劇。徹底して色気がない。原因は生まれなのか、育ちなのか、それとも外見なのか、或いはその全てか……。

駄目っぽい男と食事に何回も行きつつ、しかし単なる食事友達なまま、少女時代から最近までの人生を回想するという形式になっている。そして、その過去が悉くモテナイ女である。いや、同姓からはモテているのだが。

最初から最後まで痛々しいが、ラストの男が欲しいという魂の叫びは最強に痛い。

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