シルエット

2008年2月16日 読書
ISBN:4062749262 文庫 島本 理生 講談社 2004/11 ¥440
女性の体に嫌悪感を覚える元恋人の冠くん。冠くんと別れ、半ばやけでつき合った遊び人の藤井。今の恋人、大学生のせっちゃん…人を強く求めることのよろこびと苦しさを、女子高生の内面から鮮やかに描く群像新人賞優秀作の表題作と15歳のデビュー作他1篇を収録する、せつなくていとおしい、等身大の恋愛小説。

ようやく島本理生もコンプリート。これが一作目になるのだが、図書館に蔵書していないので最後になってしまった。読んだのは文庫版。シルエットより後の「リトル・バイ・リトル」や「生まれる森」よりも出来が良いと思ったら、文庫化される際に修正しているようだ。どの程度修正したのは分からないが、もし執筆当時からこのレベルならば驚きである。

女子高生(当時)が書いたにしては、かなり高水準になっている。基本的な文章作法すら備わっていない作家志望中高生が書くネット小説と比べたら、その隔たりは月とスッポンである。小ネタに文学作品も使用されているし、きっと、数多くの文学に触れてきたに違いない。

オーソドックスとか安易だとか言われてしまう様に、ごく平凡な日常を描いた作品が多いので、一見地味だけど、こういう地に足がついた作家こそ芥川賞に選んでいくべきじゃないのだろうか。最近の選考委員は派手だったり奇をてらったゲテモノばかり選びたがるからなぁ。困ったものだ。

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