ISBN:4087473538 文庫 中山 可穂 集英社 2001/08 ¥500
ぼろぼろの守護天使たちがわたしにつきまとう…。人生のすべてをかけた劇団を失い、世捨て人のように暮らす劇作家ミチル。絶望の果てに、彼女は天使の幻覚を見るようになる。この天使たちを葬るために―。イスタンブールからリスボンへ、そしてパリへ。ヨーロッパを彷徨うミチル。再生の光は果たして見つかるのか?魂の巡礼を鮮烈に描く青春小説の傑作。第6回朝日新人文学賞受賞作品。
しまった! 第6回朝日新人文学賞受賞作品だから、これが最初かと思ったら、実は二作目だった。単独でも読めるように書かれているけれども、「猫背の王子」の続編だった。幻のデビュー作は図書館に無いな、困った……。
劇団が無くなった後、気が向いた時だけアルバイトをし、後は閉じこもって生きる屍と化している劇作家、王寺ミチル。一緒に劇をやりたいと現れた女性に渡された大金で、欧州を放浪する。その最中にも女絡みの恋愛情事を重ねて行く。
百合物というより、生々しいからやはりレズビアン物と呼ぶのが妥当だろう。腐女子が男同士で興奮するのと同じようには楽しめないが、女同士なので無難に読める。女よりも男が読む方が、同性愛に対する抵抗は少ないと思う。
それにしても日本へも戻らず、中途半端なまま終わっているな。このままではお金を出した女性も、劇団員で因縁のある男との関係も、放置されたままじゃないか。シリーズだからまだ続編が出るとは思うが……。
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