ISBN:406184251X 文庫 東野 圭吾 講談社 1988/07 ¥600
校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。
東野圭吾は直木賞を取った後くらいから異様な人気が出て、全然図書館に戻ってこなくなった。いつ行っても本棚に無いので困ってしまう。過去作品すら、なかなか読めない。たまたまコレが戻ってきたので借りてみた。
これがデビュー作とは驚きである。しかも、デビュー作品にして第31回江戸川乱歩賞受賞作。投稿作品としては、確か3作目だったと思う。いきなりでこの高水準は凄い。動機が弱いとか言われているが、くだらない理由で人を殺す人間なんて、現実世界にいくらでもいるのだから、単なる悪口でしかないと思う。殺される側からしたら、こんなくだらない理由で死ぬのは堪らないだろうけど。
密室トリックも、使い捨てにしてしまうという贅沢な事をしてしまう。そのトリックでも十分なのに、単なる目眩ましですか! 読み物としては面白いが、事前に全ての情報が明かされないので、読み手が推理する事は出来ない。ラストはいやな感じの結末で、爽快感が得られなかった。
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