ISBN:415208880X 単行本 金子 浩 早川書房 2007/12/14 ¥2,100
数学者チューリングが基礎を築いた数学的魔術により、平行宇宙から魔物じみた異生物が侵入してくる怖れがあることが判明した。この魔術的災厄の防止を目的として、英国政府が設立した組織が〈ランドリー〉である。ボブ・ハワードはこの秘密組織の新米エージェント。初の現場任務は、アメリカからの帰国を希望する大学教授との接触だった。哲学教授で赤毛美人のモーは、自分では気づかぬうちにオカルト的国防にかかわる研究をしていたため、アメリカ政府から帰国を許されなかったのだ。たんなる調整だけの初級任務のはずだったが、中東系テログループに彼女が誘拐されたことから事態は一変する。SWATチームの突入により彼女は無事奪還されたが、テログループの目的は謎だった。リーダーらしき人物がドイツ語を話していたことから、背後にナチス・ドイツの魔術研究機関アーネンエルベとの関連も推測された。真相究明のため、ボブとモーの二人は、アーネンエルベの資料があるアムステルダムの残虐行為記録保管所へと向かうが……!? 表題作「残虐行為記録保管所」と、その続篇で2005年ヒューゴー賞ノヴェラ部門受賞作の「コンクリート・ジャングル」の2篇を収録したSF+クトゥルー+スパイスリラー。
名前がこんなのだからリクエストし難いと躊躇していたら、誰かが入れてくれていた。若しくは、図書館チョイスで入れたのか!?
SFとホラーを合体させたような話で、決して表には出てこない特殊な組織のエージェントが主人公となるのだが、彼らが戦うのはテロリストやスパイといった相手ではなくて、別の場所から進入してくる邪悪な存在なのである。
事件に巻き込まれた女性を助けようとして、敵がやってきた異世界まで侵入するのだが、そこにいたのは……。最初、異世界まで逃げていたナチのオカルト部隊が敵かと思ったのだが、彼らはすでに邪悪な何かに洗脳されていた。
それにしても、敵が大きすぎて、かえって話が盛り上がらない。別世界宇宙のエネルギーを全て消費し尽くした何かが、死にかけた宇宙から次元を超えてこちら側の宇宙に入ろうとするのだが、この敵は何者!? ハストゥールか、ヨグ・ソトースか、それとも最悪のアレか!?
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