ダックスフントのワープ
2008年4月26日 読書ISBN:4167614014 文庫 藤原 伊織 文藝春秋 2000/11 ¥500
大学の心理学科に通う「僕」は、ひょんなことから自閉的な少女・下路マリの家庭教師を引き受けることになる。「僕」は彼女の心の病を治すため、異空間にワープしたダックスフントの物語を話し始める。彼女は徐々にそのストーリーに興味を持ち、日々の対話を経て症状は快方に向かっていったが…。表題作ほか三篇。
第41回江戸川乱歩賞受賞、第114回直木賞受賞という快挙を成し遂げたために、「テロリストのパラソル」がデビュー作だと思っている人が結構いるようだ。でも本当のデビュー作はこれ。W受賞の10年前に、「ダックスフントのワープ」が第9回すばる文学賞を受賞している。
ワープというのは犬の名前ではない。ダックスフントがワープするのである。でもこの犬は、マリちゃんという女の子の家庭教師になった主人公が語る作中内の物語に出てくるだけの架空の存在なのであった。
途中で唐突に悲劇が訪れ、犬の物語も終わってしまう。それにしても、藤原作品にはよくマリちゃんが出てくる。一体、マリという名前にどんな思い入れがあったのだろうか。
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