閉鎖師ユウと黄昏恋歌
2008年5月20日 このライトノベルがすごい?ISBN:4757718330 文庫 扇 智史 エンターブレイン 2004/05 ¥672
優柔不断で気弱な高校生、江崎和柾は、同じクラスの那菜、枝流というふたりの少女に心を揺らしていた。ある日、和柾は下校中に見かけた枝流を追って入り込んだ路地で、空間に開く異世界との「孔」=「世界孔」を目撃する。そして「世界孔」閉じる「閉鎖師」ユウと出会う。巨大ペンチを抱えた美少女、現存最強の吸血鬼、校庭のソメイヨシノと神隠しの噂。平凡な和柾の日常は静かにひび割れ浸食されていく―。第5回えんため大賞編集部特別賞受賞作登場。
「墓標の森と魔女の本」というファンタジーっぽいものを見つけて読もうとしたら、これと繋がっているらしく、探してきて先に読んでみた。世界設定は同じだけど、別に繋がってはいないので、各作品単独でも全く問題は無かった……。
閉鎖師というのは、世界に開いた穴を塞いでいる人々である。普通の人間には認識出来ないのだが、世界のあちこちに穴が開いて、それが広がると外から別の何かが紛れ込んできたり、異世界の法則が侵食したりして、世界崩壊に繋がるらしい。
ちなみに、この話の主人公は閉鎖師ユウではなくて、二人の同級生の狭間で揺れ動くヘタレ少年だった。こいつが全く活躍しないので、物語が淡々と進んで行き、敵らしき敵も出て来ないので盛り上がらないまま終わってしまう。しかも、痛い結末だった! 出来が悪いギャルゲーのバッドエンドに行き着いてしまった時のような気だるさだけが残る微妙作。
背景設定を大切にしすぎるあまり、登場人物に全く躍動感が無い。淡々としたままで山場も無いし、悲しい結末に終わるので、劣化した恩田陸を読まされている気分である。結局、書きたい物を書いてみただけの、単なる自己満足作品としか思えない。途中で出てくる最強クラスの吸血鬼も、これ単品だと出てくる意味もさほど無いし。
このラノベは盛り上がり皆無で淡々と……。そしてバッドエンドしか無い。
★☆
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