ヘルマフロディテの体温
2008年7月3日 読書ISBN:4270003189 単行本 小島 てるみ ランダムハウス講談社 2008/4/3 ¥1575
ある日、母が「男」になった。それが始まりだった。以来、シルビオの世界は少しずつゆがみはじめた。人に言えない悪癖にとりつかれ、他者と交わることもできなくなったシルビオ。そんなとき、背徳と情熱の町ナポリで男でもない女でもない、謎めいた大学教授に出会う。教授の出す奇妙な課題はさらに尋常ならざる世界へとシルビオをいざなう……。年老いた女装街娼や去勢された男性歌手、伝説の人魚や両性具有の神たちが織りなす哀しくも優しい異形の愛の物語。
幻想的で妖しげな雰囲気。また凄い新人が出てきた。やはり、物書きは努力じゃなくて才能だと思う。面白くない作家は、何作書いてもツマラナイ。次々と新しい才能が出てくるので、作家という職業も厳しいよなぁ。
母が失踪し、男となって戻って来た。母を失った青年は、女装して町に出て、襲われかけたところを真性半陰陽の教授に助けられる。トランスセクシャルだけではなくて、男にも女にも分類出来ない人まで出て来るが、倒錯気味な萌えブームに乗っかっただけの駄作とは違い、カストラート、ギリシャ神話、人魚伝説と、使われる題材も素晴らしい。
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