愛はさだめ、さだめは死
ISBN:4150107300 文庫 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 早川書房 1987/08 ¥756
自然と本能のまえにとまどう異星生物のライフサイクルを、斬新なスタイルで描き、1973年度ネビュラ賞に輝く表題作ほか、コンピュータによって他人の肉体とつながれた女の悲劇を通して、熾烈な未来社会をかいま見せ、1974年度ヒューゴー賞を獲得したサイバーパンクSFの先駆的作品「接続された女」、ユカタン半島に不時着した飛行機の乗客が体験した意外な事件を軸に、男女の性の落差を鋭くえぐった問題作「男たちの知らない女」など、つねにアメリカSF界の話題を独占し、注目をあつめつづけたティプトリーが、現代SFの頂点をきわめた華麗なる傑作中短篇全12篇を結集!

「たったひとつの冴えたやりかた」ほど面白く感じられないのは、短編だからだろうか。どれも出来は良いと思うのだが、やはりSFを背景世界等の予備知識が不足したままで、限られた字数で追うのは辛い。短いから、語られない部分があまりにも多すぎる。それにしても、こんな硬質な作品の書き手が女性とは驚きである。当時、SF者が男性作家だと思い込んでいたのも仕方が無い気がする。

とにかく、普通じゃない内容のものが多く、背景設定も難解なのが多いので読み難い。おまけに、短編なので与えられる情報も限られているから、さらに読み難い。異星生物が主人公だったりするので、ますます読み難い。かなり読み込んだ上級SF者じゃないと厳しい気がする。もっと楽なSFで修行してから出直して来いという事か(笑)。ティプトリーを読むなら、無難に「たったひとつの冴えたやりかた」から始めたほうが良いかもしれない。

サイバーパンクの先駆みたいに言われている短編は、遠隔操作出来る人型で新しい人生と恋を手に入れるブスが出てくるのだが、サブカルチャー的表現で言うところの「中の人」になるのである。しかし、未来世界のシンデレラはハッピーエンドで終わってくれない。これに限らず、バッドエンドが多い短編集だった。

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