あくじゃれ―瓢六捕物帖
2008年9月3日 芥川賞・直木賞ISBN:4167677024 文庫 諸田 玲子 文藝春秋 2004/11 ¥650
絶世の色男、粋で頭も切れる目利きの瓢六が、つまらぬことで小伝馬町の牢屋敷に放り込まれた。ところが丁度同じ頃起きた難事件解決に瓢六の知恵を借りるため、与力・菅野一之助は日限を切っての解き放ちを決める。不承不承お目付役を務める堅物の定廻り同心・篠崎弥左衛門との二人組による痛快捕物帖。
第126回直木賞候補作。
時代物だけど読みやすい文章なのが良い。切れ者の瓢六が賭博で座敷牢に放り込まれ、江戸の町で起こる事件を解決するため、使役させられてしまう。世渡りが下手そうな堅物同心の篠崎弥左衛門が良い味を出している。何度も瓢六の助けを借りるうち、次第に柔らかくなる篠崎弥左衛門。利用するために投獄を引き伸ばす、意外に策士な与力、菅野一之助。事件はいろいろと巻き起こるが、江戸を舞台とした推理物ではない。事情により裏家業へと身を堕とした男と同心を中心とした人情劇といった感じか。江戸時代は嫌いなのだが、これは素直に読める。
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