江利子と絶対 本谷有希子文学大全集
2008年9月23日 読書ISBN:4062758261 文庫 本谷 有希子 講談社 2007/08/11 ¥420
引き籠もりの少女・江利子と“絶対”と名付けられた犬のコンビが繰り広げるぬるい日常を、姉の視線から描く表題作『江利子と絶対』。頭髪に問題を抱えた中年男・多田と、その隣人の帰宅を生垣に潜んで待つ女、アキ子。ふたりの悲惨な愛の姿を過剰なまでのスケールで描き出した『生垣の女』。問題児でいじめっ子の波多野君と、その手下の僕と吉見君。3人の小学生が迷い込んだ、窓のない屋敷は……。手に汗握る殺人鬼との攻防を描く、ホラー傑作『暗狩』の3編を収録。
帯にこう書いてある。
悪意、ユーモア、溢れる想像力。
やっぱり、おもしろくなければ文学じゃない!
激しく同意。昨今の糞面白くない芥川賞系統作品は、単なる自慰行為である。読まされて「だから何?」という感想しか出てこない本なんて糞食らえ! である。
題名が変だから面白くなさそうだと思っていたのだが、三篇全てが凄い。表題作は、ちょっと頭がおかしい江利子という引き篭もり人間な妹が主人公で、絶対というのは虐められて身体がおかしくなった犬の名前だった。
二番目の「生垣の女」は頭がおかしいストーカー女が転がり込んでくる話で、座敷女みたいに強烈なキモキャラである。しかし、主人公がストーカーされているのではない。生垣女は別の男を追いかけているのだが、あまりにもモテナイ君なので、座敷女級の相手にさえ依存してしまうのである。二人ともキモすぎる。
最後の「暗狩」はちょっとなぁ……。駄目じゃないけど、連続殺人鬼のキチガイが出てくる話なので、個人的には受け付けない。出てきた人間がほとんど殺されてしまう、徹底して救いの無い話だ。暗黒乙一作品を、極限まで暗黒度数と不快指数を高めたような作品である。
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