ISBN:4167586045 文庫 北村 薫 文藝春秋 2006/05 ¥500
昭和七年、士族出身の上流家庭・花村家にやってきた女性運転手別宮みつ子。令嬢の英子はサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなみ、彼女をベッキーさんと呼ぶ。新聞に載った変死事件の謎を解く「虚栄の市」、英子の兄を悩ませる暗号の謎「銀座八丁」、映写会上映中の同席者の死を推理する「街の灯」の三篇を収録。
直木賞候補作となった「玻璃の天」を読もうとしたら、これが前作である事を知り、慌てて借りてきた。シリーズ物でも、見た目で判別出来ないのが多いから困る。「街の灯」→「瑠璃の天」です。
昭和初期、女子学習院に通う上流階級のお嬢様、花村英子が主人公。周辺で起こるちょっとした事件を、お嬢様が謎解きする。飢えで苦しむ人間がいる時代、優雅に暮らす人々の物語なのが萎え気味になるけれども、世間知らずの馬鹿娘ではなく、頭の回転が速いので許容範囲。主人公よりも、運転手兼ボディガード役のベッキーさんのほうが気になる。女でありながら運転手に抜擢され、剣技にも秀で、拳銃まで的に命中させてしまうという謎の人。
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