透きとおった糸をのばして
2008年10月15日 読書ISBN:4062754223 文庫 草野 たき 講談社 2006/06/15 ¥490
親友との関係に思い悩む、中学2年生の香緒(かお)。研究に熱中することで、なにかを忘れようとする、香緒のいとこで大学院生の知里(ちり)。一緒に住んでいた二人のもとに知里の過去を知る、るう子が転がりこんでくる。奇妙な共同生活を送る中で、明らかになる三者三様の苦悩の正体とは? 講談社児童文学新人賞受賞作。
男が原因で、親友と上手くいかなくなってしまった中学生の香緒(かお)。香緒のいとこで大学院生の知里(ちり)。ふられた恋人を追って上京してきた、知里の友人るう子。この三人の奇妙な同居生活。同居している状態が物語になってはおらず、単にバラバラな三人が同じ場所に住み込んでいるだけ。るう子に至っては、全然関係ないのに紛れ込んできて、完璧居候状態。
男絡みで友情が破綻するというのはよくある話で、それは女が友情よりも愛情を優先する生き物だからだろう。悲しいけど仕方が無い。中学生には辛い試練かもしれないが、女として生きていれば、そんなシーンは腐る程あるはずだ。多分……。
知里は三人の中では優等生だから、特筆すべき部分も見当たらないのだが、最大の地雷は、居候のるう子。こいつは痛い。ふられた恋人に付きまとい、ストーカー化してしまう。単に好き好き攻撃のゴリ押しでは、男は逃げるに決まっている。逃げられるには、逃げられるだけの原因があるのだ。男だって、いい女を捕まえるために努力しているのだから、女も逃がさないための努力を日々続けるべきだろう。家事が致命的に出来なくてジコチューで周囲が見えない痛い人では、逃げられても仕方が無い気がする。
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