ISBN:489456937X 単行本 平谷 美樹 角川春樹事務所 2002/03 ¥1,995
「憂鬱な神の座」 それは究極の叡智か、それとも…。遥か未来の宇宙で異星文明間の争闘に巻き込まれた一人の男が、果てしなき試練の彼方に見たものとは? 壮大なるSFドラマ。
当時、これを見かけて、何となく表紙のデザインが「ヴィドック」に似ているなぁという訳判らない理由で手にして読んでみた訳ですが、前作以上に凄かった! いろいろな意味において。これは文庫になっていないのか。「エリ・エリ」を読んで続編に進みたい人は困るだろうな。
前作で体を失ったはずの神父は、神に匹敵するイキッスィアの力で再生する。そして別の宇宙で自分探しの巡礼に!? 彼を追ってきたカズミ、そして時々登場する謎の男クレメンタイン。
別の宇宙で神探しや自分探し、或いは恋愛SFといった感じには収まってくれない。やがて、イキッスィアの力を畏怖したウォダが戦争を始める。その戦いは時の終わりまで続き、イキッスィア文明圏とウォダ文明圏の間で銀河を二分する大戦争が繰り返される。新たに勃興した文明はどちらかの陣営に組み込まれ、際限なく戦争が続いていく。
しかし、片方の盟主であるはずのイキッスィアは現れなくなり、彼らに啓蒙された異星人だけが戦闘を継続している。イキッスィアの超兵器かと思われる、銀河を貫くギニルトゥル噴流、その正体は……。実のところ、神の如きイキッスィアは、世界を存続させるために戦争どころじゃなかった訳で。ここまで大風呂敷広げても良いのだろうか。
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