ISBN:4087488462 単行本 東野 圭吾 集英社 1998/08 ¥520
仕事場に通う途中に思いつき、目の前にいる人々の心境を想像した作品「鬱積電車」。怪しい笑いが新たな不気味な笑いを呼ぶ9編からなるユーモアあふれる作品集。怪しい笑いに酔いしれたい方に最適。
怪笑するまでには至らなかったが、ニヤリとするようなブラックユーモアが多い。度が過ぎて、人間の汚さに辟易する話もあるが。「鬱積電車」は、混雑した電車内での、ジコチュー人間達の心の囁きを描く。クソみたいな人間だらけの中、一見、いつも通りの日常のまま終わるのだが……。最後の最後で自白剤を誤って巻いてしまった男が出てきて終わる。この後、修羅場になるのだろうな。「しかばね台分譲住宅」は、町に死体が転がっており、風評被害でこれ以上値下がりしてたまるかと、死体を隣の住宅街へ捨てに行くのだが、相手も同じ事を考え、死体の押し付け合いに! 「一徹おやじ」は巨人の星だし、「あるジーサンに線香を」は、そのままアルジャーノンのオマージュ。
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