ISBN:4344013182 単行本 朱川 湊人 幻冬舎 2007/04 ¥1,260
なんか題名がいつもの路線と違う……。表紙も妙なマンガかラノベみたいだし、一体、どんな小説を出してきたのかと思いきや、これは小説ではなくてエッセイだった。題名通りに、本当にスッポ抜けていて、なんだか朱川湊人らしからぬユルユルな内容だが、面白さを追求した割りには、どうもイマイチな気がする。(普通くらいには面白いけど。)
作家って、小説が面白いタイプとエッセイのほうが面白いタイプに分かれていて、両方面白い人は少ない気がする。(無論、両方面白くないなんて人は論外!)そして、朱川湊人は前者。絶対に小説のほうが面白い。面白く書こうとしてネタに走ってはいるものの、やはりエッセイに関しては、原田宗典には及ばない。まぁ、この作家の意外な面が覗けたのは良かった。
それにしても、出てきた時から結構、完成度が高かったけど、デビューするまでに相当苦労している様で……。適当に書いたラノベでデビューする男子高校生がいたり、訳判らん文章作法無視な駄文でデビューする女子高生や女子中学生がいたりするのに、朱川湊人が作家になるべく会社を辞めてから8年間もデビュー出来ないのを考えると、作家になるのも運なのかと思ってしまう。もっとも、ペラいままで運良くデビューしてしまった人の大半はすぐに消え去るので、ずっと生き残れる実力派としてデビューするための準備期間だと考えれば、一概に運が悪いとは言い切れないのかもしれない。
コメント