ISBN:434401314X 単行本 万城目 学 幻冬舎 2007/04 ¥1,575
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。二学期限定で奈良の女子高に赴任した「おれ」。ちょっぴり神経質な彼に下された、空前絶後の救国指令!?「並みの天才じゃない」と金原瑞人氏激賞!
第137回直木賞候補作。
作家にとって重要なのは二作目だと思う。確かに一作目も大切だが、最初は十分な準備期間があるから作家にとっての最高水準のものが出来て当然。そして、一定レベル以上のものが出来上がらなければ入賞しないので、駄目であってもそれは一作目にはならない。問題は二作目。デビューしたら間を置かずに次を出さなければ忘れ去られてしまう。デビュー作を読んだ人間は当然、期待して待っているから、一作目以上のものを出して来なければならない。ここで面白いものを投入して来られるならば、その書き手はホンモノだと思う。
さてさて、万城目学。二作目にして直木賞候補作にまでなってしまった。出てきたのが微妙な感じのボイルドエッグ。デビュー作品も「鴨川ホルモー」という、ホルモンの誤植なんじゃないかと思ってしまう変な名前。他のボイルドエッグ作品が全部ハズレだったのでちっとも期待していなかったのだが、読んでみたら石に混じった玉だった。二作目も「鹿男あをによし」とかいう妙な題名だが、今回は期待度大!
本当はすぐに読みたかったのだが、図書館での予約数の多さにめげてしまい、今の時期までずれ込んでしまった。この回の直木賞レースは同系統の森見登美彦もいるから無理だろうとは思っていたが、決して負けてはいない。というか、少なくとも第135回で受賞してしまった三浦しをんには勝っている気がするのだが……。なんで受賞出来ないの?
大学の研究室から出されて奈良の女子高に赴任する羽目になってしまった男。最初は普通の小説っぽかったので、今回は奇抜設定じゃなくて普通の物語なのかと落胆しかけたら、突如鹿が喋り始めた。「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」
今回も期待を裏切らず、見事なまでに妙な世界へ突入して行く。鹿に選ばれてしまった男は、京都の狐からある物を渡される役目を担うのだが、大阪の鼠が邪魔をして、受け取る事に失敗してしまうのだ。このままでは日本が危ない! 任務に失敗した男は、ペナルティとして鹿男に!?
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