バガージマヌパナス―わが島のはなし
2008年11月20日 読書ISBN:4167615010 文庫 池上 永一 文藝春秋 1998/12 ¥590
「ワジワジーッ(不愉快だわ)」ガジュマルの樹の下で19歳の綾乃は呟く。神様のお告げで、ユタ(巫女)になれと命ぜられたのだ。困った彼女は86歳の大親友オージャーガンマーに相談するが…。あふれる方言、三線の音、沖縄の豊かな伝承を舞台に、儚い物語の幕が上がる。第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
この賞は、本当にファンタジーっぽくない作品だらけだな。個性的な作品が多いから、変な話を読みたい人には都合が良いけど。
石垣島が舞台だから、南の離島へ旅立ちたくなる。何も考えず、潮風に吹かれながら南の島でゴロゴロしたい。蟻か何かの消耗品のように働きまくる日本人よりも、この物語の主人公のようにゆったりと日々を過ごしている人々のほうが精神的には遥かに豊かだと思う。
高校を卒業してからも好き放題に生きる美少女綾乃。近所の婆さんとつるんで悪戯もし放題。そんな彼女が神託を受け、ユタ(巫女)になれと神から言われてしまうが、面倒臭いので頑なに拒否。業を煮やした神は、天罰を与えまくって脅しをかける。なんだか、すごく人間臭い神だな。
ちょっと方言で書かれている部分が多くて読みにくいけれども、標準語のままだと、きっとこの物語の魅力は半減してしまう。ちゃんと標準語訳もついているから、気にせず読むべし。
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