エンジェル

2008年11月21日 読書
ISBN:4087474763 文庫 石田 衣良 集英社 2002/08 ¥560
投資会社のオーナー掛井純一は、何者かに殺され、幽霊となって甦った。死の直前の二年分の記憶を失っていた彼は、真相を探るため、ある新作映画への不可解な金の流れを追いはじめる。映画界の巨匠と敏腕プロデューサー、彼らを裏で操る謎の男たち。そして、一目で魅せられた女優との意外な過去。複雑に交錯する線が一本につながった時、死者の「生」を賭けた、究極の選択が待っていた―。

殺されて幽霊となった男が主人公なのだが、気がついたら死んでいて、最近2年間の記憶が欠如しているので、自分が何故殺されたのか判らない。自らの死の秘密を解くために行動するのだが……。

文章は申し分なく上手いのだが、なんか中身がスカスカだなぁ。幽霊も、やたらと俗物っぽくて霊らしくないし。死者なのに出来の悪い探偵ごっこみたいな事をする。恨みの波動が感じられないし、ちょっと落ちこぼれた幽霊みたいだ。

実行犯らしきヤクザも反吐が出るし、物語が進むにつれ、周囲の人間がことごとく殺害に関与しているので救いが無い。最後のサプライズも憂鬱でしか無いし、ご都合主義的なラストは滅入る。転生みたいになっているけど、じゃあその赤子に元々宿っていた魂はどうなるの?

人気作家だけど、乱筆で密度が薄くなるのは仕方無いのか。読者を美味しく惹き付けるだけの力量はあるけど、消費型作家に過ぎない気がする。きっと、次世代になったらもう読まれてはいないだろう。

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